Galileo Galilei「Sea and The Darkness」

★★★★☆

Sea and The Darkness(初回生産限定盤)(DVD付)

光と影とでも訳そうか。実に彼ららしいタイトルだと思った。

アニメの主題歌に起用されるような万人受けを狙った爽やかな曲と海外インディに影響された一捻りあるサウンドの両方がガリレオガリレイが作る音楽であり、常に彼らの作る音楽には光と影のような矛盾、相反するものが付きまとった。彼らが自分達の活動を振り返ると、有名になったことで得ることができた貴重な経験や見ることができた素晴らしい景色があった。しかし決して良いことばかりではなく、見たくなかった、見れなかった景色、苦労やプレッシャーがあったのだろう。ジャケットを見ると上手くいかないことの方が多く、また常に不安や不満が付きまとっていたのかなと思う。救われるのはそれでも犬が前を向き光指す出口に向かっている点だ(逃げているようにも見える)。

 

自分は周りの友人や大人に恵まれていて、困った時や辛い時はいつも周りの誰かに迷惑をかけながら助けられて生きてきた。ガリレオガリレイは自分とは逆で、特に尾崎さんは周りの大人に恵まれなかった、良い大人に出会えなかったのかなと思う。 頼れなかったのかもしれない。作品を作るということは自分自身と向き合うことであり、それは孤独なものだ。それでも真摯に音楽に向き合い続けた彼らの姿勢からは音楽に対する愛や感謝のようなものを感じた。彼らも音楽に救われた者の一人なのかもしれない。自分は彼らの音楽に救われた者の一人だ。

 

PORTALのエレクトロ路線とか色々手を変え品を変えやってきたけど結局リスナーが求めてるのはこっちの路線なんだろ?とでも言うような、前作から原点回帰したバンドサウンドがこの作品で実を結んだ感想。

ガリレオガリレイでやれることは全部やり切ったって感じかな。最後まで素晴らしい作品を作ってくれたことに感謝するし、これで最後という受け入れがたい寂しい気持ちもある。

 

10. 嵐のあとで

 

ガリレオガリレイとしての作品は終わったけど、彼らと音楽は切っても切れない関係であることが窺えるMV。

きっとそう遠くない未来でまた彼らの音楽が聴ける日が来る、そんな気がする。

 

今年も暑い季節がやってきた。

また「青い栞」を聴くんだろうなあ。