#2022年レコメンド

2022年の自分を彩ったもの。

 

・アルバム

SONGS[初回限定盤](特典なし)

 

1. スカート「SONGS」

2.羊文学「our hope」

3. 宇多田ヒカル「BADモード」

世の中が「コロナ禍」と呼ばれるようになり、丸3年が過ぎようとしている。

「SONGS」の感想を書く前に個人的な話から始めると、ブログでコロナという言葉を使うのをずっと避けてきた。コロナという言葉を使うことで今の世を表するのは簡単だけど、ブログをやっている身として、安直にその言葉を使うのは負けと同義だと思ったからだ。コロナという言葉を使わずしてこの世を表してこそ、ブログ冥利に尽きると思った。皆、わずか3文字で形成されるほどの日々を過ごしていない。コロナと共に過ごした空虚な3年の中でも、1日1日の大切さは変わらない。

でもそうじゃない人もいる。触れざるを得ない、生活のために今も面で向き合い続けている人々。氏もその1人なのかもしれない。

最初「SONGS」というアルバム名に疑問を感じた。あえて悪い言い方をするなら「あまりに安直すぎる」と思った。氏はコロナと面で向き合い続けた日々を、アルバムという記録に残すことで価値あるものへ昇華させ、コロナとの区切りを自分の中で付けたかったのかもしれない。コロナ禍と共に過ごした曲たちだから「SONGS」、もうそう付けざるを得なかった。

タモリが今の世を「新しい戦前」と評したように、僕らを取り巻く状況は大きなうねりと共に否が応でも変わり続ける。「新しい戦後」から振り返ると、どの曲も包含され、やがて行き着く先は結局ただの「2020年代の曲たち」だ。それでもスカートはリリースし、素晴らしいアルバムへと昇華させた。時代と共に僕らを取り巻く状況が変わろうとも作品は不変だから。

2022年はスカートの「SONGS」がリリースされた年だ。スカートの「SONGS」によって自分の2022年は形成された。なんだかスカートのアルバムがリリースされる度に年間1位に選んでいる気がするけど、今作は過去作の中でもぶっちぎりで良かった。スカートがいよいよ世間に見つかり、耳馴染みの良い上質なポップソングへ仕上がっていることが、13曲中10曲がタイアップという構成からも見て取れる。ライブ行きたかったなあ。

あと宇多田ヒカルはぜんぜんBADモードじゃない。めちゃくちゃ絶好調モードでした。

 

 

・漫画

うみべのストーブ 大白小蟹短編集 (トーチコミックス)

1. 大白小蟹「うみべのストーブ 大白小蟹短編集」

2. 末永裕樹、馬上鷹将「あかね噺」

3. 真造圭伍「ひらやすみ」

喪失とSF要素をうまく組み合わせた「うみべのストーブ」。どの短編も嫌なことばかりの生活に気づきを与え、そっと寄り添い温かくしてくれる。本棚にずっと置いておきたい作品の1つになった。

まだこのブログで挙げてない新作に限定すると上の3作になるけど、去年挙げた「チ。-地球の運動について-」も堂々たる完結だった。

特に最終巻のノヴァクがすごい。全てを読み終えると、この作品は地動説立証に奔走する側でなく、それを異端思想として取り締まるノヴァクこそが真の主人公だったことに気づかされる。

ノヴァクは死に際に異端審問官として自らの言動を顧みて「私はこの物語の悪役だったんだ」と気付く。地動説が通説になっている現代の読者からすれば「そんなの当たり前じゃん」って話なんだけど、それを作中で本人に言わせて、「異端審問官の彼こそが地動説によって最も人生を狂わされた人物」へ立場が逆転する面白さ。その後、ノヴァクによって処刑されたラファウから「同じ思想に生まれるよりも、同じ時代に生まれるほうがよっぽど近いと思う。(中略)今、たまたまここに生きた全員は、たとえ殺し合う程憎んでも、同じ時代を作った仲間な気がする。」と慰めを受け、せめて娘だけも天国へと救いを求める姿を見ると、もうこの作品を好きになる人しかいないんじゃなかろうか。「10巻以内のオススメ漫画」として必ず挙げられる作品になったのでは。魚豊さんの新作も楽しみすぎる。

ONE PIECEも最高だった。最終章に入り、ワンピースそのものの世界観の答え合わせに突入した。空白の100年とDの一族・天竜人・五老星の関係や、シャンクスの一挙一動に目が離せないし、そこにルフィがどう関わってどんな答えを出すのか、月曜が楽しみで仕方がない。来年30になる男が未だにワンピースで一喜一憂してるのもどうかとは思うけど、幸せなんだから仕方ない。色んな漫画を読んできたつもりだけど、面白い漫画ってなると結局ワンピースに行き着くんだよなあ。

 

 

・映画

1. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

2. コーダ あいのうた

3. THE FIRST SLAM DUNK

2022年が始まって年明け一発目に観たスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」。2022年、いやここ数年でこれを超える作品はないだろう、自分の人生ベスト5に入り続ける作品に立ち会ってしまった高揚感。今後マルチバース作品はぜんぶこういうストーリーで良いよと思考停止で思ってしまうほどの完成度で、ノー・ウェイ・ホーム手法とでも名前を付けたくなる。もう発明では。

様々な大人の事情で作っては作り直してを繰り返してきたスパイダーマンスパイダーマン唯一の欠点とも受け取れる点を、マーベルはマルチバースという手法で逆手にとった。ソニーとマーベルの過去のいざこざも、全ては面白い映画の為に制作会社の垣根を越えて、1つのスクリーンに3人のスパイダーマンが集結、それも当時のキャストでなんて実現するんだな。そんなのアリかよ。

ノー・ウェイ・ホームの素晴らしい点は、ヒーローとしての成長が描かれているのは勿論のこと、過去作のオマージュと解答を随所に散りばめることで、過去作の上に今のスパイダーマンがあるという姿勢を貫き通したことだと思う。過去作を無かったことにするのも簡単だったろうに、それをしないことで、今までスパイダーマンを観てくれた人、全てのスパイダーマンファンへ向けたご褒美のような側面を持たせた。特に女神像からゼンデイヤが落ち、それをガーフィールドが救うシーン。この映画が作られた1つの意義、果たした役割を明確に世へ示した。

叔母を亡くした喪失感に暮れるトム・ホランドに、慰めるスパイダーマン。どのユニバースのスパイダーマンも悩み葛藤し孤独に戦ってきた。結局スパイダーマンを救えるのはスパイダーマンしか無かったんや。存在意義を見失い自暴自棄になった話、今までどんな敵と戦ってきたか、糸の出し方等、楽しそうにスパイダーマンあるあるを語る3人の姿からは、ずっとこの時間が続けばいいのにと観てる側も思ってしまう。

ご時世も相まって映画の配信サービスも広がり、ネット環境さえあればどこでも気軽に映画が観れるようになったことで、映画館で映画を観る理由も以前ほど薄くなってきたように思う。それでもわざわざ映画館まで足を運び、皆で映画を観ることの素晴らしさをノー・ウェイ・ホームは改めて感じさせてくれた。ガーフィールドが登場した時の驚きと歓声、グリーンゴブリンのヒールキャラ、最終的にどのスパイダーマンよりも過酷な決断を行い、どこか寂しそうに1人スウィングするラストシーンのトム・ホランドを観てすすり泣く声、同じ時間と場所を共有したからこそ生まれる一体感が映画館で映画を観ることの魅力の1つだと思うし、改めて映画体験の素晴らしさを感じさせてくれた作品でした。

最後に野暮なことを書くと、4位はトップガン マーヴェリックでした。あそこまでアメリカに振り切られると笑っちゃうぐらい気持ち良い。

 

 

・じゃないとオードリー(テレビ東京BSテレ東

人は弱い。だからブレて変わり続けて、負ける。でもそれは人であることの証明であり、強みでもあると思う。ブレの中にしか人はいない。

概してオードリーもブレる。でもそれをすべてさらけ出し、ブレて負けるまでの過程を見せてくれるから安心できる。

「この番組はオードリーじゃないと...」と言われるために、新たなオードリー像を目指して番組内であらゆるミッションに励む2人。その果てに、番組最後に若林が今までの自らの言動を反省しこう結論づける。「人間ってね、コミュニケーションする動物だよ。俺の負けだと思った。」と。

やっぱりそうなのか、そうだよなと思うし、でももう少し抗ってみようと思う。そして僕も負けようと思う。

 

 

森博嗣作品(S&Mシリーズ)

個人的なキャパの問題で感想を書くのをやめた小説。

小説自体は変わらず読んでいて。なかでも2022年は、以前読んだ「すべてがFになる」から、いつか読みたいと思っていたS&Mシリーズを中心に読み進め、10作すべて読み切った。

工学部の教授である氏の理路整然とした文章が読みやすすぎるのは勿論のこと、シリーズものだからこそ生きる叙述トリックや、キャラの関係性の変化、90年代後半に刊行されたとは思えない科学技術を使用したトリック、期待を裏切らないシリーズ作品でした。

以下、個人的なメモも兼ねて面白かったベスト5を列挙

1位:すべてがFになる

2位:今はもうない

3位:夏のレプリカ

4位:幻惑の死と使途

5位:有限と微小のパン

 

 

カタールW杯

のちにロストフの死闘と呼ばれることになる、ロシアW杯 ベルギーとの敗戦から早4年。

誰もがグループリーグ敗退の下馬評を覆した日本代表。個人的にはそれだけで4年前の雪辱を果たせて十分だった。あわよくば今大会こそベスト8の壁を・・・とは思ったけど。悔しすぎる。次大会こそ。

日本代表の活躍も素晴らしかったけど、全試合無料で放映した、本田圭佑氏を解説に抜擢したAbemaTVに心から拍手を送りたい。どんな逆境でも「でもおれたちには解説に本田圭佑がいるしなあ」という謎の安心感。

 

 

・ヒゲ脱毛

2021年4月から行っていたヒゲ脱毛が終わりました。月1回(髭の毛根?の入替わり周期的にこの頻度がベストらしい)のペースで全12回、ちょうど1年。

結論から言うと本当にやって良かった。

もともと髭が本当に濃くて、剃っても10分後には生えてきていると言っても過言ではないくらいだった。10分後には生えてきて青くなってるもののために、わざわざ朝の貴重な時間を費やすことが本当にムダでアホらしいと常々思っていた。

それが今は2週間に1度、生えても産毛程度なので剃ろうか剃るまいか迷う程度にまで減った。毛穴も引き締まるから赤子のように肌ツルツルになって自分じゃないみたい。うれしい。

「コンプレックス1つ減らすことでこんなに生きやすくなるんだな」と髭脱毛をやってみて思った。何事も依存し過ぎず良い距離感で付き合うことが大事だけど、それがコンプレックスなら整形もべつに良いんじゃない?と、髭脱毛を経て考えが変わった。コンプレックスと向き合う時間はムダで、必要もない。

今、腕と腹も追加でやってます。依存ではない、決して。VIOも、IとOはやりたいなと思っているけど、さすがに恥ずかしさが勝る。

 

 

・青春って密なので

第104回 全国高校野球選手権大会 仙台育英高校 須江監督優勝インタビュー(2022.08.22)